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牧師室の縁側



玉川キリスト教会との信徒さん・求道者の方々との交流で生まれるページです。






視力障害者とパソコン1−視線の役割を果たすもの−


このところ、視力障害者であるO氏のパソコン操作を色々と手助けしながら、パソコンが視力障害者の世界を大きくひろげることにつくづく感心するところがありました。

私が大学病院で作業療法士として働いていたのは、もう15,6年も前になりますが、作業療法士としてもまだ駆け出しで、中途失明の患者さんを受け持ちながら、何をどうしたらよいのか、神奈川県七沢ライトホームの作業療法士に手紙を書き、資料を取り寄せて、資料を参考にしながら、随分と苦労した記憶があります。 あのころ、パソコンがこれだけ発達していたら、(確か当時は、NECの98シリーズが出るかでないか、という時であった、と思いますが)、退院後の余暇活動の指導として、まずパソコンを指導していたに違いなかったことでしょう。

さて、O氏は、パソコンを使用するのは全く初めて、20代で中途失明になりましたが、その後も、パソコンに縁のある生活をしていたわけではありません。それが2年前にパソコンを購入、パソコン教室に通いながら、キーボードをかなり自由に使いこなせ、メイルを読む操作ができるようになっていました。キーボードの操作は、「ブラインドタッチ」という用語があるように、視覚障害者の方でもそれほど難しいことではありません。私もキーボードを見ないで、キー操作をする訓練を積み、今では完全にそのブラインドタッチをマスターしていますが、ポイントは、FとJのキーを覚えることにあります。大方のパソコンではFとJのキーが他のキーと違う触感に作られているのです。私が愛用しているパソコンの場合は、FとJのキーに突起がついています。ここに左右の人差し指を乗せ、そこを中心に五本の指を操作するブラインドタッチをマスターするわけです。

問題は、ブラインドタッチがどれほどうまくできても、どこかでキーが正しく操作されていることを確認できなくてはなりませんが、O氏のパソコンには、「XPリーダー(95ReaderVer.5.0)」という、優れものの音声ガイダンスがインストールされています。入力したキーや操作などを、ひとつひとつ読み上げてくれるわけです。O氏によると、この他にも、いくつかのリーダーソフトが市販されているそうで、それぞれ一長一短だ、ということですが、O氏が使っているものは、「株式会社システムソリューションセンターとちぎ」で開発されたもので、価格34,800円にて、次の連絡先で入手できます。

〒329-1233栃木県塩谷郡高根沢町宝積寺情報の森とちぎ、
電話:028-680-2030、
FAX:028-680-2022、
Email:95reader@ssct.co.jp
Web: http://www.ssct.co.jp/

またO氏が愛用するメイルソフトは、宮崎嘉明(作)のWindows版のオンライン配布ソフト、MMメイルで、これは次のWebアドレスから9,800で入手できます。 95reader@ssct.co.jphttp://www.am-corp2.com/mm-mail2/index.html

このようなソフトでメイルを使いながら、O氏がホームページで営業を展開したい、と考えるところから、O氏のパソコンの世界はぐっと広まったように思います。 私も当初は、色々と質問されても、「視覚的にやらないと無理かな」というようなことを言っていたのですが、色々とパソコンを触っているうちに、視力障害者にも可能な操作というものが見えてきたわけです。

その決定的なコツの一つは、「タブキー」を使いこなす、ということです。実は、パソコンのタブキーというのは、視力障害者にとって視線の役割を果たすのです。たとえばはじめ、パソコンを起動すると、「アクティブディスクトップの修復」という症状が出て非常に困ったことがあります。目が見える人であれば、アクティブディスクトップの修復にカーソルを移動させてクリックすれば、それで済むことですが、目が見えない人はどうすればよいのか。パソコンのインフォメーションセンターに相談しましたら、「パソコン本体の設定を変えて、そういう状態にならないようにするとよい」という返事で、しかし、その設定の変更は非常に難しく思われて、手をつけずにいたわけです。そういう問題があるたびに、これは「目に見えている人にお願いするしかないですかね」というお話をしていました。

ところがある日、O氏いわく「あれね、解決したんです。タブキーを使うんですよ」と。「タブキー?」といぶかる私が、実際にタブキーを動かしてみると、なるほど、アクティブディスクトップの修復ボタンに、カーソルが移動するではありませんか。なるほど、これはすべてに応用できるぞ、と思いました。つまりホームページを閲覧する時も、あるいは、設定などの変更、コンボボックスやリストビューの編集をする時も、と。実際、試してみると実にうまく機能しました。

たとえばホームページ。ホームページを立ち上げると、XPリーダーが画面上の文字をすべて読み上げてくれます。次に、読み終わった後に、タブキーを一度ずつ押してみる。すると、リンク先を一つ一つカーソルが移動していくのです。これで、視力障害者も、ホームページを音声ガイダンスによって楽しんでいくことがわかりました。 そして、メイル設定の編集にしても、タブキーを押すことで、編集対象のボックスを一つずつ移動してくれます。そして目的の場所で、キー入力をして書き換え作業をすればよい、ということになるわけです。 「タブキーが視力障害者の視線代わりとなる」これは私にとっても発見でした。

パソコンというのは、そんなに難しいものではありません。ポイントは二つ。キー操作を覚えて、あとは編集機能を覚える、というだけのことです。基本はこの二つです。視力障害者にとっても、キー操作はある程度訓練が必要ですが、それほど難しいものではないでしょう。しかし、編集操作については、タブキーが視線の役割を果たす、ということを心得ていれば、完全ではないにしても、だいぶパソコンを自由に操作できることになります。 視力障害者の情報入手は、次の点字・音声テープ、CD/DVD図書館の充実や朗読ボランティアの発達によりずいぶんとよいものになった、と思われます。

●日本盲人会連合 点字図書館
〒169-8664東京都新宿区高田馬場1-10-33
電話 03(3200)6160(直通)
Fax 03(3200)7755
e-mail: nitimou@mtd.biglobe.ne.jp
Web: http://www.normanet.ne.jp/~nichimo/

●静岡改革派キリスト教盲人伝道センター
〒422-8041 静岡市中田1-5-21
電話 : 054(285)0496
Fax : 054(285)0746
振替:00870-2-700
e-mail:shizumouden@mail.wbs.ne.jp
Web: http://www.wbs.ne.jp/cmt/shizumouden/index.html

しかし、パソコンによって、情報検索機能が使えるようになれば、自分の知りたい情報が、自ら、誰の手をも煩わせず、音声ガイダンスによって、一層の自由さをもって入手できるようになる。視力障害者の世界が広げられ、一層前向きな人生へのお手伝いができる技術がさらに発展してほしい、と願わされました。

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視力障害者とパソコン2−アドレス帳の作成に挑戦−


視覚障害者のO師がある情報が収集されたCDを持ってきました。このCDからアドレスだけを抜き出して自分のメイルのアドレス帳に集めたい、と言うのです。「うーんこれは難しい」手順を明確にすれば、あるいはできるかもしれない、と思いとりあえずCDを見てみました。すると、文章に埋もれる形で、一頁ごとに約700ほどのアドレスが記載されているではありませんか。「これは大変な作業ですよ。根気と時間が必要ですね。それからアドレスにたどり着くまでは、例のタブキーを駆使することで何とかできるでしょうが、そこからアドレス帳にどうやって転載するかが問題ですね。実際にO師のコンピューターで調べてみましょう」というわけで、O師のコンピューターに取り組み、O師が愛用するMMメールのアドレス帳にいかに、視力に頼らず、音声ガイダンスのみで、転載するかの実験が始まりました。

まず、CDを挿入すると自動実行で、CDの内容がWeb形式で立ち上がります。そこから音声ガイダンスに耳をそば立てながら、タブキーを駆使して、リンクを移動し、目的の頁まで移動、目的のアドレスにたどりつきました。ここまでは、これまでやってきた作業とそれほど変わりはありません。ここからアドレス帳にどう転載するか。

クリックすると立ち上がるのはアウトルックエクスプレス、このアドレス帳じゃだめなわけです。色々いじくり回しているうちに、これはプルダウンキーというのでしょうか、そのキーを押すと、カーソルのあたっている情報をコピー(ショートカットのコピー)してくれる小さなウィンドーが開くのです。それで、一度ショートカットのコピー、次に、MMメイルを立ち上げ、アドレス帳を立ち上げ、「追加」ボタンへとタブキーで移動させていきます。なんとその過程で、シフトキーを押しながらタブキーを押すことで逆順に移動することもわかりました。ともあれ、「追加」ボタンをクリックすると、そこにアドレス追加編集画面が出てくる。で、最初にアドレスの名前を入力します。

ここで、O氏は日本語オンのキーを押して、日本語でアドレスの名前を入力、次にタブキーを押すと、メールアドレスのエディットボックスにカーソルが移動しますから、ここに先ほどコピーしたアドレスを貼り付けるわけです。しかし、Webからの転載ですからMailto:と余計な文字がアドレスの頭についてしまいます。これを一文字ずつ、音声ガイダンスによって消去していく。ついにO師は、アドレス編集の仕方を知ることができました。しかし、その方法をマスターするまでに、録音テープに向かって、自分の頭で整理した手順を吹き込みながら、何度かつまずきながら繰り返し、ついに要領をつかんだようでした。その時間、約4時間。

世の中難しいことが多い中、こういうことは「なせばなる」、というものなのでしょう。要領を飲み込み、お茶を一服したO氏は、すばらしい特訓を受けたと笑顔。これだから人助けは止められないな、と渋いお茶を一服しました。

その後、O氏のコンピューターの調子が悪いというので、半日かけて、ディスクのクリーンアップとディスクのディフラグ、そしてウィンドウズのアップデートを行いましたが、もしかしたら、視覚障害者が作業を進めやすい手順さえ明確にして、作業手順を訓練すれば、これも一人でできるようになるかもしれない、と思わされました。

視覚障害者がパソコンの操作、というのは、最初は結びつきにくい連想でした。しかし、その操作上の課題を一緒に考え、細かく指導していく人がいれば、視覚障害者の世界はもっと広がるのだ、と改めて思った次第です。



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視力障害者とパソコン3−ファイル管理に挑戦−


例によってO氏が訪ねてきました。今度はフォルダー管理について知りたいというのです。マイクロソフトエクスプローラーの操作を、今度は一緒に考えました。

まず、エクスプローラーを起動する。するとマイドキュメントの中に、これまでO氏が手がけたおりがみの作成方法が記録されたファイルが雑多に出てきました。これを「折り紙」というフォルダーの中に整理したい、というのです。

それではやってみましょうか。というので、プルダウンキーで目的のファイル「切り取り」を選択、そして、そのまま矢印キーを使って、折り紙のフォルダーへ移動、エンターキーを押して、折り紙のフォルダーを開きます。再びプルダウンキーで「貼り付け」を選択、目的のファイルを「貼り付け」これで終了、意外と簡単に事が運びました。O氏のキー操作も早くなり、これはいわゆる学習が進んだ、ということでしょうか。

ところが、問題発生!エクスプローラーの階層を元に戻すことができない。これは困ったぞ、どうしよう。普段、マウスパッドだけですべてを操作している私には、どのキーが「戻り」なのか皆目検討がつきません。これでもない、あれでもない、と色々弄繰り回していると、そばで見ていたS氏が、「このキーはどうですかね」とBack Space キーを指します。で、押してみると、うまく動くではありませんか。これで、一件落着。

そこでO氏が、質問、「これは登録が必要ですか?」なるほど、MMメイルの場合は、アドレス帳にアドレスを追加した場合、登録ボタンを押さないといくら追加しても、編集が反映されないのです。そこで、エクスプローラーもそうなのだろうか、と思ったようでした。MMメイル操作という先行学習の成果を活かしていたようでした。

そこで、ソフトそれぞれに編集機能の考え方の違いがあるから、エクスプローラーはもうこれでよい、と説明すると、納得。またまた、O氏のパソコン操作能力が拡大しました。

しかし、不満足な部分も残りました。それは、リンクを飛ばす方法が見つからなかったことです。視覚的には、リンクはいくらでも自由にカーソルを目的の場所にマウスパッドで移動させて選択できるのですが、聴覚的に音声ガイダンスでやっていくと、リンクを飛ばすわけにいかないわけです。何度も最初からリンクを一つ一つ辿っていくしかない、これを5個、10個と飛ばすような方法はないものか、と思わされた次第でした。どなたか、情報があったらお知らせください(→information@tamachape.com)



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